最低賃金攻略への道 Part.1
「社長、罰金は5,000万円ですね~」
令和3年10月より、最低賃金法の改正により最低賃金額が引き上げられることはニュース等を見られて皆様ご存知かと思います。じゃあ、一体いくらぐらい引き上げられるのでしょうか?
引き上げ額としては、全国加重平均額で28円の大幅な引き上げが行われ、これにより最も高い最低賃金額が多い東京で1041円、最も低い県でも820円、全国加重平均額では930円となり、800円未満の地域がなくなることになります。
これにより、今年の3月に菅総理が提言した「全国平均1,000円を目指す!」とした表明に一歩近づくこととなりました。じゃあ、この最低賃金制度とはいったいなんのことでしょうか?
まず、最低賃金制度について厚生労働省によりますと
「最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度」
とされています。仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金法に定められる最低賃金額と同額の定めをしたものとなりますのでご注意ください。
では、最低賃金額以上を支払わなかった場合にはどうなるのでしょうか?
この場合、まず最低賃金額との差額を支払わなければなりません。これに加えて、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、罰則で50万円以下の罰金{特定(産業別)最低賃金額以上の賃金を支払わない場合は罰金30万円以下}が定められています。
例えば、労働者が100人働いている企業で全員が地域別最低賃金額以上の賃金を支払わない場合は最大で50万円の罰金が・・・いえいえ、違います。この罰金は一人ひとりにつき科せられるので、最大でなんと5,000万円!!の罰則があります!こりゃ大変!
しかも、最低賃金法が適用される労働者は正社員のみならず、パートタイム労働者や有期雇用労働者を含めたすべての労働者に適用されます!(労働局の許可を得ることにより、一部の労働者は適用除外)
ですから、「あ~、ニュースで見たけど、ウチの会社は大丈夫だろう。」と高を括っていたら、あわや倒産寸前・・・。なんてこともありえるのです!!
では、いったいどのようにすれば良いのでしょうか??
まずは、Part.2では最低賃金額の取り扱いについて具体的な金額を用いて算出してみましょう。